笑顔で穏やかな生活を支える認知症の方へのポジティブケア

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専門病院での入院治療

山川 みやえ

作成目的

専門病院での入院治療は、BPSDがひどくなり、家族や本人が疲弊しきってしまう前に、また地域での生活を取り戻すための時間です。退院を大前提として進めていくためのものです。

概要
病院はずっと生活を送る場所ではありません。専門病院に入院してきた患者さんをサポートし、早く退院してもらうには以下の2つのことが重要です。

1.入院を短くするために、入院計画を家族と共有し、多職種で関わること
患者さんやご家族に入院時にお渡しする入院期間の目安とその間のケアの内容、そして退院後の生活がスムーズになるためのものです。また、スタッフが入院の間にすることをクリニカルパスにしました。これは、以下のことを目的としています。
  • BPSDを軽減するための環境と関わり方を効果的に確立し、退院後のスムーズなケアの継続を図る
  • 認知症専門治療病棟でのケアの過程を明確にし、ケアを継続する重要性を地域のケアスタッフや家族に伝える

そのため、多職種で共通の指標を使います。BPSDの査定をするために、NPI-NH(Neuropsychiatric Inventory-Nursing Home Version)という尺度を使用しています。その尺度は国際的にも広く使用されており、日本語版もあります。NPI-NHはBPSDを妄想、興奮などの12個に分けて、その頻度、重症度、介護負担度を測定するものです。
ここで問題となるのは、単に患者さんの状態を共有するだけではいけないということです。同じ方向性を持ち、患者さんの現在と今後にはどのようなケアが必要かという点で足並みをそろえないといけません。例えば、退院後自宅で生活することが決まっている場合、退院後どのような社会的サポートを持つ必要があるのか、家族がどのように関わればよいのか、現在服用している薬剤は継続していくのか、少し混乱した場合はどうすれば落ち着くのかなどを関わる人たちで共有しなければケアの継続は出来ません。そこで、クリニカルパスを進めていく上で、患者さんのアセスメントやケアを見直す機会として定期的なカンファレンスも盛り込みました。この定期的なカンファレンスでNPI-NHを評価し、入院1か月のカンファレンスでは、ご家族にも来てもらい、退院後の方向性を決めます。可能な場合、ケアマネジャーや退院後のケアスタッフも同席してもらえるとよいでしょう。

2.退院サマリーによる退院後のケアの継続を図る
施設などでは患者さんを受け入れる際にどんな情報が必要でしょうか。例えば、入院中の薬剤調整について、患者さんによっては、かなり細かく処方量などを調整している場合があります。その場合、その薬剤がなぜ必要なのか、量は変えないほうがよい、変えた場合はこんなことが起きるというような処方の根拠なども教えてほしいといった要望などがありました。ケアの根拠をできるだけ伝えていくことが、継続したケアにつながります。
使用の際の留意点

この内容は公益財団法人浅香山病院で2012年から使用しデータを蓄積しているものですので、施設によっては状況が異なることも考えられますが、重度のBPSDの人も退院できている実績があるので参考にしてください。

検証

この結果に関して研究論文作成準備を進めており、論文受理後に検証データ加筆の予定です。

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認知症入院計画書
認知症病棟パス
退院サマリ


本ウェブサイトは、日本医療研究開発機構(AMED)認知症研究開発事業の以下の2つの研究の支援を受けて、開発・運営されています。

「認知症者等へのニーズ調査に基づいた『予防からはじまる原因疾患別のBPSD包括的・実践的治療指針』の作成と検証研究」

研究代表者 數井 裕光

「BPSDの解決につなげる各種評価法と、BPSDの包括的予防・治療指針の開発〜笑顔で穏やかな生活を支えるポジティブケア」

研究代表者 山口 晴保